新電力家庭用小売上位20社の中で最安の会社をコツコツ調査
2023年春以降電気代は落ち着き始めました。政府の激変緩和措置(1kWhあたり7円で2,562円割引)のおかげも大きいですが、2023年6月の電気代は366kWh利用して9,407円なので心穏やかです。2022年6月は342 kWh利用で11,771円と昨年より使用量が多いのに安価になっています。
ただ東北電力・東京電力・北陸電力・中国電力・四国電力・沖縄電力・北海道電力の7社は規制料金の値上に踏み切り認可がされました。
現在我が家は東京電力のアクアエナジー100を利用しており燃料費調整単価の高騰とは関係がなく、東京電力から料金見直しをしない旨の手紙も頂きましたが、いつまでもこの電力プランがあるとは限りません。2023年1月には新規申し込みの停止をしていますので、油断できません。なので現状どこの電力会社が一番安価なのか自分で調べてみます。
電気代最安調査の条件
世の中には調査会社が沢山あります。プライベート・仕事で関わった事のある人も多いかもしれませんが、調査をする際に大事なのが、最初の条件決めです。自分がスッキリできるよう考えてみました。
電気事業は体力勝負の面もありますので、企業体力として売上規模がある会社を第一条件にしました。契約アンペアは多くの人が使う40Aとし、電力会社が公表している平均使用量より多めの500kWhとしました。(数値のトラップで平均値はあまり納得感がないので)我が家は、現在東京電力のアクアエナジー100を利用しているので1kWhの単価が30円を超えた時点で高いという気持ちになってしまいますが、この感覚は恵まれすぎています。
東京電力の規制料金は大幅にあがりました。アクアエナジー100は依然として激安です。最低料金が、アクアエナジー100の上限数値です。
【2023年6月以降の東京電力価格】
調査リストを作成
新電力は約700社ありますが、燃料価格の高騰もあり市場から撤退・新規の契約停止の会社も多く、調べてもなかなか最安値にいきつきません。なので、実際に販売している会社の上位20社から最安の会社を探すことにしました。実際に契約している人がいらっしゃるという安心感もあります。
データは資源エネルギー庁の「電力調査統計」から頂きました。2023年4月4日に2022年12月のデータ公開で約3か月前ですが、大きくは変わりません。知りたいデータがあるって素晴らしいです。
契約数は1契約300kWhとして単純に割り算をしただけです。東京ガスが300万世帯契約(ホームページで公表)ですので、1家庭の平均は300kWhとしました。参考データですが、売上規模が分かると思います。大手企業が並びますので、選択を間違えなければ倒産を心配する事なく契約が出来ます。
事業者名(2022年12月分) | 低圧計(1000kWh) | 契約数推測 |
東京ガス株式会社 | 923,661 | 3,078,870 |
SBパワー株式会社 | 573,725 | 1,912,417 |
大阪瓦斯株式会社 | 468,145 | 1,560,483 |
auエネルギー&ライフ株式会社 | 406,086 | 1,353,620 |
ENEOS株式会社 | 358,763 | 1,195,877 |
株式会社ハルエネ | 223,191 | 743,970 |
東邦ガス株式会社 | 210,289 | 700,963 |
NTTアノードエナジー株式会社 | 174,468 | 581,560 |
楽天エナジー株式会社 | 107,409 | 358,030 |
株式会社オプテージ | 96,766 | 322,553 |
大和ハウス工業株式会社 | 96,632 | 322,107 |
株式会社Looop | 93,477 | 311,590 |
株式会社PinT | 84,538 | 281,793 |
株式会社ジェイコムウエスト | 83,154 | 277,180 |
株式会社エネワンでんき | 79,732 | 265,773 |
株式会社ジェイコム東京 | 77,889 | 259,630 |
株式会社グランデータ | 76,865 | 256,217 |
株式会社CDエナジーダイレクト | 75,048 | 250,160 |
エバーグリーン・リテイリング株式会社 | 75,004 | 250,013 |
日本瓦斯株式会社 | 73,842 | 246,140 |
ソフトバンク電気(電力小売売上ランキング2位)
ソフトバンクは売上高は5兆円を超えており日本国内でも上位20社にはいります。通信業界は巨艦NTTが12兆円と突出していますが、電電公社が前身のNTTとは単純比較出来ません。燃料費調整単価高騰前の2021年には電気契約数200万契約突破キャンペーンも実施しており、企業規模は安心です。
ソフトバンクでんきには一般的な「おうちでんき」と「自然でんき」がありますが、料金を安価にするのが第一目的ですので、「おうちでんき」の詳細を見ていきます。
最安の基準値は40A・500kWhで検証(エリアは東京電力管内)
【As-Is・東京電力単価】
【As-Is・ソフトバンクでんき単価】
左が現状・右が値上げ後の料金です。現状には燃料費調整額が含まれています。
- 第1段階料金 120kWhまで 1kWh →28.22円(東京電力は30.00円)
- 第2段階料金 120kWhを超え300kWhまで→34.82円(東京電力は36.60円)
- 第3段階料金 300kWhを超えたもの→38.91円(東京電力は40.69円)
東京電力より従量分が安価ですが、大きなトラップがあります。それが電力市場連動額の導入です。(2023年6月1日分より適用)東京電力にはない加減項目が追加されています。
- 10A 295.24円(東京電力は295円24銭)
- 15A 442.86円(東京電力は442円86銭)
- 20A 590.48円(東京電力は590円48銭)
- 30A 885.72円(東京電力は885円72銭)
- 40A 1,180.96円(東京電力は1,180円96銭)
- 50A 1,476.20円(東京電力は1,476円20銭)
- 60A 1,771.44円(東京電力は1,771円44銭)
基本料金は東京電力と同一です。ただし、電力市場連動額が導入されましたので、値段が安定的でなくなるリスクが存在します。市場が安い時はいいですが、一時期社会問題になるぐらい高騰したことがあります。2023年5月に従量分を改定し6月から市場連動額の追加です。
市場価格は誰もが見れる状態になっています。東京エリア月平均をみると、2022年8月は1kWhあたり33円に高騰、直近では約10円です。
「電力市場連動単価=(電力市場価格-基準市場価格)×市場調達比率」
簡単に東京電力エリアの市場価格が10円(2023年6月月平均)・7月とした場合、10円から基準市場価格2.2円を引いて7.8円です。そもそも電力市場価格が2.2円を切る事は少ないです。更に夏場になれば電力がひっ迫して値段の高騰が予想できます。
7.8円に市場調達率の70%を掛けると、5.46円です。これの使用量分を負担する事になります。
もちろんいい点もあります。ソフトバンク・ワイモバイルの回線をもっていれば、2年間毎月110円の割引を受けられますが、一寸した割引に留まります。SoftBank 光/SoftBank Airの契約があれば更に110円割り引かれますので、1通信回線・1自宅WIFI用でMAX月220円割引です。(最大割引契約回線数は10回線です)
ソフトバンクおうち電気 VS 東京電力従量電灯B
試算に際しての条件の一つである燃料費調整単価上限の有無の時点で、東京ガスの電気は燃料費調整単価上限なしなので従量電灯Bの勝利ですが、考え方は様々ですので条件2(金額)で試算します。
参考までに平均燃料価格の推移です。12万円を超えたことは昨年夏以降ありません。なので上限に達する事はないだろうと考えるのもありです。
平均の貿易統計期間 | 燃料費調整制度に おける平均燃料価格 |
燃料費調整単価 | 対象月 |
2022年8月~2022年10月(東京電力・関東) | ¥100,200 | ¥12.99 | 2023年1月 |
2022年9月~2022年11月(東京電力・関東) | ¥100,400 | ¥13.04 | 2023年2月 |
2022年10月~2022年12月(東京電力・関東) | ¥94,600 | ¥11.69 | 2023年3月 |
2022年11月~2023年1月(東京電力・関東) | ¥88,400 | ¥10.25 | 2023年4月 |
2022年12月~2023年2月(東京電力・関東) | ¥83,900 | ¥9.21 | 2023年5月 |
2023年1月~2023年3月(東京電力・関東) | ¥78,300 | ¥7.91 | 2023年6月 |
2023年2月~2023年4月(東京電力・関東) | ¥70,300 | ¥6.54 | 2023年7月 |
ただ、ソフトバンクおうちでんきには市場連動額の導入もあり、契約には慎重な判断が必要です。
燃料費調整単価は東京電力2023年7月を参考にしました。燃料価格が落ち着き、基準値も変更になったので、同条件で比較できるようになりました。(最近までは規制料金の上限値で比較が歪でした。これがあるべき自由経済の姿だと考えます。)
一方で上限の無いソフトバンクおうち電気の燃料費調整単価は、計算式が東京電力と一緒なので同じ金額になります。計算しやすいです。
40A・500kWh利用で試算 | 東京電力 従量電灯B 値上後 |
【調査対象】 ソフトバンク おうちでんき |
【参考】 アクアエナジー |
40A基本料金 | ¥1,180.96 | ¥1,180.96 | ¥2,244 |
最初の 120kWh まで単価 | ¥30.00 | ¥28.22 | ¥23.86 |
最初の 120kWh まで料金 | ¥3,600 | ¥3,386 | ¥2,863 |
120kWh超300kWhまで単価 | ¥36.60 | ¥34.82 | ¥23.86 |
120kWh超300kWhまで料金 | ¥6,588 | ¥6,268 | ¥4,295 |
300kWh超単価 | ¥40.69 | ¥38.91 | ¥30.60 |
300kWh超料金 | ¥8,138 | ¥7,782 | ¥6,120 |
再生エネルギー賦課金(1.40円) | ¥700 | ¥700 | ¥700 |
燃料費調整単価 | -¥2.95 | -¥2.95 | – |
燃料費調整料金 | -¥1,475 | -¥1,475 | – |
電力市場連動単価 | ¥- | ¥5.46 | – |
電力市場連動額 | ¥- | ¥2,730 | – |
激変緩和措置 | -¥3,500 | -¥3,500 | -¥3,500 |
電気代合計 | ¥15,232 | ¥17,072 | ¥12,722 |
ソフトバンクおうち電気の考察
ソフトバンクは携帯事業としてはとてもいいですが、電気は選択する理由がありません。あまりにも高く、市場価格の影響を受けるので一見公平ですが、消費者にとってはリスクが大きいと考えます。
40A・500kWhの利用で、東京電力に対して12%も高いです。東京ガスのでんきとは大違いです。東京ガスは公共インフラとして、利用者に出来るだけ安定してエネルギーを使ってもらおうという感じがしますが、ソフトバンクからはそれは感じられません。
新電力売上ランキングで2位の規模ですので、価格改定があっても一定数の契約は残ると思いますが、新規で加入する魅力はないと考えます。
調査結果(40A・500kWh)→リストを更新
事業者名(2022年12月分) 40A・500kWh利用で試算 |
低圧計 (1000kWh) |
契約数推測 (300kWhで割算) |
確認結果 東京電力従量電灯Bとの比較 |
東京ガス株式会社 (規制料金値上後比較済) |
923,661 | 3,078,870 | 価格差95% 東京電力から切替OK |
SBパワー株式会社 (規制料金値上後比較済) |
573,725 | 1,912,417 | 価格差112% 市場連動額導入 SAYONARA |
大阪瓦斯株式会社 東京電力管内 CDエナジーダイレクト比較 2023年6月規制料金連動値上無し |
468,145 | 1,560,483 | 【規制料金値上前】 東京電力管内 価格差106% 燃料費高騰時は見送り (7円以下目安) |
auエネルギー&ライフ(株) (規制料金値上後比較済) |
406,086 | 1,353,620 | 価格差108% 電力電源調達等調整額を注視 |
ENEOS株式会社 2023年6月規制料金連動値上無し |
358,763 | 1,195,877 | 【規制料金値上前】 価格差106% 燃料費高騰時は見送り (7.5円以下目安) |
株式会社ハルエネ | 223,191 | 743,970 | 検討対象外・法人契約のみ |
東邦ガス株式会社 (愛知・岐阜・三重と周辺のみ) |
210,289 | 700,963 | 検討対象外 一部エリアのみ |
NTTアノードエナジー(株) (ドコモでんき) |
174,468 | 581,560 | 2022年11月8日より新規受付停止 |
楽天エナジー株式会社 | 107,409 | 358,030 | |
株式会社オプテージ | 96,766 | 322,553 | |
大和ハウス工業株式会社 | 96,632 | 322,107 | |
株式会社Looop | 93,477 | 311,590 | |
株式会社PinT | 84,538 | 281,793 | |
株式会社ジェイコムウエスト | 83,154 | 277,180 | |
株式会社エネワンでんき | 79,732 | 265,773 | |
株式会社ジェイコム東京 | 77,889 | 259,630 | |
株式会社グランデータ | 76,865 | 256,217 | 検討対象外・高すぎると炎上 |
株式会社CDエナジーダイレクト | 75,048 | 250,160 | |
エバーグリーン・リテイリング | 75,004 | 250,013 | |
日本瓦斯株式会社 | 73,842 | 246,140 |
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